映画「ルックバック」はチェンソーマンでおなじみの藤本タツキ先生による漫画『ルックバック』を映画化したものである。
この映画を見た人の感想として面白かった派と面白くなかった派の両極端に分かれている印象を受けた。学生時代に漫画やイラストなど何かに打ち込んだ人に刺さりやすく共感を得ているらしい。
そう聞くと何にも打ち込んでない人は楽しめないのかというと、そんなことは断じてない、僕は学生時代からずっとダラダラ過ごしていたが、この映画は面白いってなりました。
ということで、イラストも漫画も描いたりしない俺が、どういったところが面白かったのか感想みたいなのをブログしていこうと思う。もちろんがっつりネタバレしているので注意してもろて。
まず序盤で印象的だったところがある。絵の上手さで負けた藤野は悔しさをバネに努力を重ねるが、結局京本より上手くなることはなかった。こんなに努力しても勝てないならと絵を描くことを辞めた藤野。しかし初対面でいきなり「藤野先生の大ファンです!」と言ってくる京本。その言葉で再び絵を描くようになった。
なんだ、藤野ってやつは調子いい奴だな。ちょろインかよ(ちょろすぎるヒロイン)かと思っていました。でもあとから考えてみるそういう単純な話じゃなかった。
自分より遥かに絵が上手い人に、すごく尊敬されてる。そんなの嬉しいに決まっている。なんとなく褒めてた周囲の人間とは違って、京本はしっかり藤野の良いところを見極めている。そういった点もひとしお嬉しかったに違いない。
初めて出版社に漫画を持ち込んだ時のシーン。編集者がべた褒めしてくれて相変わらず調子に乗る藤野。そして編集者に向かってこう言った。
「背景なんて全部この子ですけどね」
良い。あの見栄っ張りで「同年代で私より上手いのが許せない」っていてた藤野が、京本のことはきちんと認めている。
無事に漫画家デビューした藤野。一応アシスタントはいるがもっと背景をうまく描ける人がほしいと編集者に相談している。今のアシスタントが下手なわけではない。むしろ上手な側ではあるが、それでも京本ほどではない。未だに過去の女を引きずっているみたいだ。それからこの時の電話での話し方が完全に大人だ。もう小学生だったころの藤野ではない。ちゃんと社会人してた。
そして例のシーン。
「京本を部屋から出さなきゃ…」
「描かなきゃよかった…漫画なんて描いても何の役にも立たないのに」
漫画を描くことがすきなのに、京本と一緒にいたいと思っていたのに、それら全てを諦めてでも、藤野は京本に生きていてほしいと願う。この巨大な感情が心に刺さる。
自分より絵が上手くて許せなかった存在だったのに、一緒に漫画を描く中で藤野の中での京本の存在が大きくなっていった。こういった心の動きが大好物です。ルックバックは苦悩や挫折を味わいながらも努力を続けた漫画家の話でもあるけど、それに加えて誰かを想う人間の心模様を描いた作品でもあると僕は感じました。
映画「ルックバック」を見ました。
— りん (@UPcB0kMMLJhrCf2) 2024年7月1日
京本は部屋から出られて楽しい経験ができたのは藤野のおかげと言っているが。藤野は藤野で平々凡々な日常を抜け出して漫画家になれたのは京本のおかげなんだよな。藤野が京本を引っ張るだけでなく、京本は藤野の背中を支えている。ふたりの実は対等な関係がよかった
Look backの意味は過去を振り返るって意味なんだけど、直訳すると背中を見るになる。藤野はふたりで漫画を描いていたころを思い出し、京本は藤野の背中を見て追いかけていた。こういう対比も良き。
これは関係ないサムネ用