結野ちり『スカーレット』1巻の感想です。
魔薬取締り機関LEAに所属するフィーネは赤ずきんのアイリスとともに、エリクサーの売人や人狼と戦うお話です。
あとがきにもあったのですが、このダークファンタジーな作品は百合姫に連載しています。
他の連載陣とは少し毛色が違いますが、個人的には大歓迎です。
ファンタジー百合はもっと増えるべきなのです。
人喰い狼との契約
フィーネは生まれた時から一緒にいるアイリスのことを大切に思っています。
しかしアイリスは人を喰う狼でした。
狼狩りに巻き込まれたフィーネは瀕死の重傷を負ってしまいます。
それでも大切な人、アイリスを守りたいがために目の前の禁薬に手を出すのです。
薬の作用で暴走してしまったフィーネは辺りにいる人間を喰い殺し、最後に狼であるアイリスを喰うことで薬が中和されて正気に戻ります。
人間に戻りたいフィーネはアイリスと契約します。
それはフィーネの暴走を抑えるため、定期的にアイリスが自分の血を与えること。
その代わりにフィーネが人間に戻ることができたら、一片も残さず喰ってもいいというものでした。
受けが攻めて、攻めが受ける
さて、アイリスはフィーネの禁断症状を抑えるために自分の血を吸わせるのですが
その描写がエロとかセクシーとかではなく妖しいって言葉がぴったりなのです。
とても良い雰囲気で、ダークファンタジーな世界観に合っています。
性格的にも主導権的にもアイリスが攻めで、フィーネが受けなのですが、血を吸うのはフィーネなんですよね。
人外が人間の血を吸うのはよく見かけます。
けど立場が上である人外が人間に自分の血を吸わせるというのは珍しいです。
いろいろな意味で挑戦的な作品で、これからも応援したいなと思いました。